犬の尿からわかる病気

冬のこの時期、ペットの排尿の異常に気付いて来院される方が見られます。

 

犬と猫では病気の発生が違う為、別々に説明した方が分かりやすいと思いまして、

まずは犬の病気について書きます。

 

尿の異常から様々な病気が診断出来ますが、今回は代表的な病気からお伝えしようと思います。

 

まず症状としては

  • 頻繁に排尿(体勢)をするが、少量ずつしか出ない。
  • 血が混じったような色の尿が出る。
  • 尿が出づらい。
  • 食欲が落ちる。

などの症状がみられます。

 

このような異常がある場合、来院される時に採れたての尿をお持ちいただくとすぐ検査をして原因を調べる事が出来ます。

尿を採取する方法として、綺麗な器で尿を受けて採り、それを密封できるものに移して採取してから可能な限り、すぐ~2・3時間以内にお持ち下さい。

おしっこをする格好になったら器で受けても良いですし、室内のトイレでする場合はトイレシーツを裏返しでセットした状態でおしっこさせて採取する方法もあります。

 

泌尿器系疾患で多く見られるのは「膀胱炎」です。

細菌感染、尿石症などによって膀胱に炎症が起こる病気です。

下部尿路(膀胱・尿道)疾患で40%が膀胱炎、20%が尿石症といわれています。

メスの方が尿道が太く短い為に膀胱炎にかかりやすくなります。

 

治療方法としては、

細菌感染が原因の場合、その細菌に効果のある抗生剤の投与を最低3週間以上続けます。

尿石症が原因の場合は、結石を溶かす効果のあるフードを与える事と抗生剤の3週間投与を併せて行います。

 

尿石症のタイプは、ストルバイト結石(尿が酸性化すると溶ける)・シュウ酸カルシウム(溶けない為、外科的に除去の必要がある)などがあります。

結石が完全に消失状態になった後は、予防の為に結石が出来ずらいフードを与える必要があります。

また肥満だと運動量が少なく、水分摂取量が減る為に病気になりやすくなります。

日頃から水を取りやすい環境にしてやり、おしっこを我慢させない事、食事に含まれるミネラルバランスが崩れないように気を付けましょう。

 

 

その他の病気としては

膀胱炎で投薬治療をしても良くならない、もしくは症状がひどくなる場合は膀胱腫瘍の可能性があります。

 

また尿検査で引っかかる項目からあげられるもので

  • 腎臓疾患(たんぱく尿)
  • 腎不全(尿比重が低い)
  • 尿崩症(尿比重が低く、尿量が多い)
  • 糖尿病(尿糖)
  • 肝疾患(ビリルビン尿)

などがあります。

 

普段から健康な状態の尿量や回数などをチェックしておく事で、早期発見・早期治療が可能になります。ワンちゃんの日々の健康状態を意識してあげましょう。

 

次回は猫の泌尿器疾患について触れたいと思います。

 

 

運動後のお水は美味しいワン。
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