上の画像は先日、歯科処置にて犬の抜歯したものです。
赤線より上の部分が口を開けると見える部分(歯冠部)、線より下の部分が歯茎の中に埋まっている部分(歯根部)です。左側の歯が奥歯、右の歯は犬歯です。また黒っぽい石のようなものが歯冠部・歯根部に付着しているのが確認出来ると思います。
黒いと虫歯かなと思われるかもしれませんが、動物に虫歯はほとんどありません。
(虫歯とは口の中の細菌が糖質から作った酸によって、歯質が溶かされて起こる歯の欠損のことを言います。)
動物では口腔内環境が悪くなり細菌のいる歯垢が増え歯石になり、歯石が多くなると歯肉炎~歯周病となる場合がほとんどです。
画像の歯の持ち主のワンちゃんは歯周病で頬が腫れて来院されました。診察してみてみると歯茎に膿がたまった状態で、歯根部までに歯石が及んでいた為に抜歯しました。
抜歯した後の食事はどうすればいいですか?と質問される事がありますが、犬は丸呑みして食べます。よほど大きい物でなければ、全く歯がなくても食事をとる事が出来ます。
さらに3歳以上の犬の80%が歯周病と言われいます。歯周病が原因となる病気もありますから、口の中をきれいにしておきたいものです。
予防法としては人間同様、歯磨きです。しかしながら犬に「歯磨きをして口の中をさっぱりしよう!」という意識は全くありません。
そこで飼主さんが歯磨きをしてあげる事が大切です。ただ口を触られるのが本来嫌な動物ですので、小さい頃から口を触って歯磨きに慣れさせましょう。また犬用の歯磨きガムなどもありますが、犬は歯磨きを意識して全体の歯で噛むというような事をしないので、やはり飼主さんが歯磨きしてあげるのがいいですね。
歯周病になってしまった場合の治療ですが、動物は口をずっと開け続ける事が困難の為に全身麻酔をします。その辺は人間と違い、簡単に行える処置ではないという事を覚えて頂けたら…と思います。
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