今回は去勢手術と避妊手術について。
去勢手術(精巣摘出手術)をお勧めする理由としましては
まず下記の病気予防になります。
- 前立腺肥大による尿道・直腸の圧迫。
- 肛門周囲腺腫。(肛門の縁に出来る腫瘤で性ホルモンが関与)
- 精巣腫瘍。
また性的行動も抑制出来ます。
- メスの発情の臭いで性的欲求が高まっているのに満たされず、ストレス増加。落着きがなくなる。
- しつけ上のマーキング行動。(少量の尿をあちこちに引っかける行為)
ただしマーキング行動がすでに癖になっている場合、落着きがないのは元々の性格かもしれない場合は去勢手術をしても治まらない事もあります。
避妊手術(子宮・卵巣摘出手術)をお勧めする理由としまして
下記の病気が予防出来ます。
- 子宮蓄膿症。(発情後に発症率増加。子宮内で菌に感染し膿が溜まり、命を落とす可能性が高い病気)
- 乳腺腫瘍。(発情後に偽妊娠し、乳腺の細胞増加により腫瘍発生率が上昇)
- 子宮に関する病気全て。
- 卵巣の病気。
- 不正な発情。(出血が多かったり長期に続く)
性的行動の抑制としては
- 偽妊娠による子育て活動の真似。
- 発情時のストレス増加。
乳腺腫瘍の発生率に関しては「初回発情が来る前」に行うと発生率が下がります。乳腺腫瘍にかかった犬では50%が悪性腫瘍であり、肺に転移して亡くなるケースが多いのです。
いずれの手術も当院では、生後6か月齢以降でお勧めしてます。ただし6か月未満でも行う事も可能ですので、その際はご相談下さい。
安易な繁殖によって生まれてくる可哀想な命を作らない為にも、必要な手術です。
繁殖をご希望されている方は、きちんと勉強され、父親と母親になる子の遺伝するであろう性格・体質を考えた上で行ってほしいと思います。出産時の負担を増やさない為にも繁殖する子同志の体格差も加味してください。
個人的な意見ではありますが、犬は避妊・去勢手術を行って、普段の暮らしを楽しむ事や散歩に集中する事が出来るようにして頂きたいです。やはり常日頃、欲求不満だと可哀想に思います。
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