今回は歯磨きについて。
人間のように自主的に(子供は親がさせていますが)歯磨きをしてくれたら…というお話をよく飼主様とします。
犬や猫は歯垢が人間より付きやすく、歯肉炎や歯周病といった歯の病気になりやすい口腔内環境です。ただし虫歯菌がない為、虫歯にはほとんどならないのです。前回のブログ「動物も虫歯になる?」もご参考下さいね。
ワンちゃん・猫ちゃんの口の中が臭いという事で来院される方も多くみられます。その中には歯が数本抜けていたり、歯周病が原因であごの骨に炎症が及んでもろくなり折れていた…という子も。
日常から口腔内のケアをする習慣にする事をお勧めしたいのですが、子犬・子猫の時から慣れさせていないとなかなか口の中を触らせてくれません。
●歯磨きのさせ方●
- ケアをする時はいきなり歯ブラシ!ではなく、最初は口の周りを触る事から始めましょう。大人しくしていたらご褒美(おやつや褒め言葉)を与えてくださいね。
- 慣れてきたら、歯磨きペーストを指にとって舐めさせて味に慣らします。
- その次に、歯磨きペーストを付けた指で前歯あたりから触るようにしましょう。
- 指でゴシゴシ出来るようになって来たら、次は歯ブラシでやってみます。嫌がる時は歯ブラシを口周りに持ってくる事に慣れさせます。
- 歯ブラシでブラッシングする時は、前歯~奥歯~歯の裏側という順序で慣らしていきます。歯と歯茎の間に歯垢がたまりやすいので、その辺りも優しく磨いてあげましょう。
このように動物のペースに合わせ、徐々に段階を踏んでいく事が大切です。無理やり行うと嫌がり、口周りを触る事すらもさせてくれなくなります。
歯磨きが出来ない場合は、ペットのデンタルケア用品も様々な種類が出ていますので、そちらを使用してみましょう。
- フード・おやつタイプ
弾力性があり、噛む事で物理的に歯垢を落とすもの。物によっては歯垢を分解する
酵素が入っているものもあります。
【デメリット】
犬は歯磨きを意識して食べてくれない為、全ての歯の歯垢を取る事が出来ません。
- ジェルタイプ
液体で歯垢を化学的に分解するもの。ペットの奥歯が見える程度に唇を持ちあ
げ、奥歯に数的垂らす、もしくは歯茎をマッサージするように指で塗ります。歯ブ
ラシで磨く必要がありません。
【デメリット】
口周りを触らせてくれない子には難しいです。物理的に磨くという行為がない為、
他のデンタルケア用品と併用した方がより良いでしょう。
- 飲み水タイプ
歯垢を分解する酵素が入っている液体をペットの飲み水に混ぜるもの。
【デメリット】
味や匂いを嫌がり、飲んでくれない事があります。
また歯磨きペーストには、チキン味・モルト味・シーフード味など種類がありますので、ペットの好みに合わせたものが選べます。
歯磨きが一番効果的ではありますが、デンタルケア用品を使用しながらでも、歯の病気を予防する事が大切です。歯石になった場合は、動物病院で歯科処置を行い取り除く事になりますが、全身麻酔が必要になり、身体に負担をかけてしまいます。
また、歯根部(歯の根っこ)まで炎症が及んでいる場合は抜歯も必要となります。
犬や猫は、虫歯がほとんどないので毎食ごとに歯磨きする必要はありませんし、歯磨き後のご褒美におやつを与えても良いのです。しかし、歯垢は3~4日で歯石に変わると言われています。毎日の歯磨きがベストですが、身構えると飼主様自体が嫌になる・動物が段々嫌がってくるといった理由で続かないので、3日に一度と気楽に始めるのが良いでしょう。
歯やあごの健康の為、普段から歯のケアを行い、口腔内環境を整えてあげましょうね。