ここ最近「発作があって…」とお話しされる飼主様が多いので、ブログにしてみました。
【 症状 】
よだれを垂らしボーっとする軽いものから、意識を失い全身ガチガチと痙攣し糞尿を漏らしてしまう重いものがあります。発作が起きている時間も数秒で終わるものから数分間続くものと様々です。
【 原因 】
発作症状が起こる原因は大きく3つに分けられます。
- 脳の異常
a.脳に病変が全くない状態
「特発性てんかん」いわゆる真のてんかん発作。この場合、通常は若い内に
一度は発作症状が現れる。
b.脳に異常がみられる状態
水頭症、脳炎、脳腫瘍、脳血管系の異常など脳に何等かの病変がある。
2. 心臓の異常
主に不整脈や心不全などが原因で発作が出る場合もあります。ただし失神のよう
な形で倒れる事が多いです。
3. 血液検査で異常が見つかる病気
例として低血糖・肝性脳症・低カルシウム血症・腎不全などです。
脳の異常に関してはCTやMRIでの詳しい画像検査や脳脊髄液の検査などを行い、確定診断が出来ます。しかし、これらの検査を行う為に動物では全身麻酔が必要となるので、手軽に行える検査でありませんし、検査機器を備えている病院が少ない為、当院では大学病院を紹介しております。
【 治療 】
てんかん発作が1か月に3回以上繰り返される、もしくは発作が強かったり長引くような命に関わる発作が一度でも起きた場合は抗てんかん剤の投与が必要となります。
てんかん以外の原因で起こる発作は、各々の病気の治療をしていきます。
【 自宅での対処方法 】
発作の起きる前に予兆がある事があります。個々によって様々ですが、普段と違う行動をする場合。例えば、落着きがない・部屋の隅でじっとする・甘えてこない子が甘えてくるといった事です。
このような予兆があった時は落ち着いて犬を観察しましょう。発作と思われる症状が起きたら、発作が起きてから治まるまでどれ位の時間がかかったのかを時計で確認するようにして下さい。またその症状を詳しく観察(可能であれば携帯などのカメラで動画撮影を行う)して下さい。
観察するポイントとしては、
- 意識の有無
- 手足の硬直
- 糞尿の失禁
- 口からよだれや泡が出ているか
- 口がガチガチしていないか
などをよく見て下さい。
動物病院で診てもらう時は、その発作症状を実際に見た方が獣医師に説明した方が詳しく伝わります。撮影が出来た場合はその動画を確認してもらいましょう。
今までの診察経験で「痙攣して発作が起きている」と飼主様がおっしゃって来院されたのですが、実際は痛む箇所があり、その痛みで身体が震えているだけだったという事がありました。発作・痙攣と表現するには間違っているケースもあり、言葉選びが難しい所ではありますね。
真の発作症状が5分、10分経っても治まらない場合は重積発作(じゅうせきほっさ)と言い、生命に関わる危険がある為、緊急に動物病院に連絡をして診てもらいましょう。
発作が治って、その後すぐに日常生活に戻るようであれば慌てる必要はありませんが、動物病院へかかる際にそのような発作があったと説明しておきましょう。
ペットに突然、何がしかの症状が出るとやはり慌ててしまいます。それは当然のことだと思いますが、動物は言葉を話せない為、飼主様が代弁してあげなければなりません。来院の際は落ち着いて、症状についての説明をお願いいたします